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未来学者のアルビン・トフラーは1970年に発表した「未来の衝撃」で「情報オーバーロード」という概念を一般化させました。 それは、情報化時代において、めまぐるしく変化する状況に置かれたとき、予測精度が低下して適切な判断ができなくなり、合理的行動ができなくなることを指摘したものでした。

現代社会はテクノロジーの進化によって、原子レベルの大きさから何億光年も先の宇宙の星々まで見通せる目をもっています。ただ、いくら精度がよく優れた目であっても、本を読むのに天体望遠鏡ほど遠くを見る目は必要なく、針の穴に糸を通すにしても光学顕微鏡ほど細かく見る必要もありません。物事をはっきりと見るためにはその本質にピントを合わせねばなりません。

科学技術の発達で多種多様な術をもった私たちは、まず目的にあった「目」を選ぶ必要があります。情報や物事の焦点を見極め、そこに的確にフォーカスしていかなけば溢れる情報の信憑性に翻弄されたり、オーバースペックな無用の産物を選び取ってしまいます。
『過剰性のピント』とは、この情報と物事が多産多死されている私たちの生活のノイズの中から目的に合わせた適切な精度を決め、ピントを合わせることで有効な結果を得ることです。

カタチをつくる方法も、膨大な数値変数 ( パラメータ ) を操作し、動的に形状を操作して最終形を決めていくというパラメトリックデザインが広がり、今までにない不可視の決定理論をもった形態が出現しています。 錯綜する条件をパラメータの中に取り込み相互矛盾のないように連動的に形態操作して立ち上がる全体形は一見して決定根拠が見えないものですが、その中には幾千万の情報が絡み合っており、従来の積木のように連結的な条件整理ではなく、粘土のような一体的な解決がなされています。ただし、見えないからと言って不確定で精度の悪い情報を盛り込んで良いというわけではなく、不可視だからこそ、空間を構成するための条件や、構造・設備のスペックや素材など、プロジェクトをを取り巻く状況すべてに照準を合わせた選択を積み重ねていかなくてはなりません。私たちは情報過多の社会で麻痺した感覚を取り戻し、とめどなく流れる情報の雑踏の中で、確かな判断基準となり情報マネージメントできるピントを必要としています。プロジェクトごとに、重点を見極め、その都度で協力チームを変えることで柔軟かつ適切に結果にフォーカスすることが大事だと思います。
 

All  Photo  by  HASHIMOTO TSUYOSHI

過剰性のピント

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focus of overabundance

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