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境界閾

boundary area

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建築は大体、ガラスやコンクリート、鉄などの窓や壁によって内外の空間が区切られています。そうすることで建築内部に安定した人工環境を維持してきました。

しかし安定的で不変の内部環境をつくるために硬い外殻を用いた「境界線」で内外が両断されていることには疑問があります。


ガラスの内外で「暑い/寒い」が一変する。それが本当に豊かな環境なのか…窓などの開口部で仕切られた境界線上とは、光や音、風や匂い、熱、素材、などの様々な要素が通り過ぎたり、ぶつかったりする環境の変化が多様にして最大の場所です。それは人の感性に大きく訴えかけてくる感受性豊かな場所と考えることができるかもしれません。つまり、建築の開口部は「五感を束ねる場所」とも言えます。もし、その場所に留まることができたなら、境界を挟んだ双方の環境を享受できるとても多様な可能性のある場所になります。


現代までの人を守るためのシェルターとしての建築環境は、「暑い/寒い」の二元論で考えられていますが、例えば「暑いーやや暑いー普通ーやや寒いー寒い」というような段階的に幅をもった内外の在り方となれば、それは境界「線」ではなくて境界「領域」とも言える場所で、幅のある境界によって個々人が自分で境界を調整できる居場所をもった建築となるはずです。


暑い〜寒い、明るい〜暗い、静か〜騒がしい、等の2つの状況を繋ぐ「居場所としての境界」。それを私は『境界閾』と呼んでいます。昔で言えば「縁側」の在り方や、「庭屋一如」という庭と家屋を一緒に考える、ということに通じる考え方かもしれません。自然と住処の間に座し、四季を感じられる場所は、情報の世界からオフラインな状況をつくり、もっと身近な環境や家族、隣人とオンラインな状態にしてくれます。世界は目に見えないものや変化し続けるものの価値を高める方向に加速していますが、目に見えるゆっくりしたものの存在を確かめてはホッとする居場所の存在が逆説的に問われている時代でもあると思います。

All  Photo  by  HASHIMOTO TSUYOSHI

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